ええっ、また、六甲へ?令和を記念して?
ならば、しかたがない。新年始まって最初の登山が六甲縦走なら文句なし。
同じ活動をしている指導者と二人で1泊2日の縦走である。
さすらい記録
出発:2019年5月2日 午前06時50分 須磨浦公園駅
到着:2019年5月3日 午後5時30分 宝塚駅
時間:約20時間。
地図:神戸市の発行する六甲全山マップ
高低:ハンパないくらい激しい
距離:53km(公称56㎞)
歩数:計測していない
健康:体重63.0kg
天候:晴れ時々曇り
気温:最高気温21.3℃。最低気温 15.1 ℃
装備:おにぎり3個。準備水分/ペットボトル500ml 水1本
途中購入/ペットボトル500ml 水2本、栄養ドリンク剤
行動食/どら焼き1個、行動食ゼリー4/アメ)
2日の夕食(カップ飯、豚汁)、3日朝食(パン、コーヒー)
総重量12kg(ザック含む)
服装:レインウェア上。(ゴアテックス製)防寒を兼ねる
スポーツ用アンダーウェア、インナーシャツ(モンベル)
登山用パンツ(ミズノ)← 伸縮性のパンツ
帽子(キャップタイプ)、タオルマフラー(愛媛県製)、替えの靴下1足
手袋(自衛隊使用)
軽登山靴(シリオP.F.421-GTX 片足750g)
グレゴリー バルトロ65(60L)
通信:スマートフォン(android) 1台 ← 山と高原社の地図アプリ
非常用バッテリー(マルチ対応)
GPSロガー(単三電池1)
地図:地図(神戸市発行の六甲縦走の地図)
薬 :サロメチール(筋肉痛対策)
:救急用絆創膏 4枚、テーピング1本
備品:コースタイム表(自作A4サイズを折りたたんで使用)
ヘッドランプ1(予備単4電池3)
腕時計(カシオプロトレック)← 高度計使用
安全:特に対策はない。ゆっくり歩くことくらい。
0640 須磨浦公園駅
どんなに早く家を出ても、これ以上早く須磨浦公園には着かない。思えば、この駅に来るのは何回目になるだろう。ここで下車する人はあまりいない。私は、今回で6回目の縦走だが重装備のハイカーにお目にかかったことはない。改札口にはだれもいないが、ICカードでピッとやって出た。

とにかく、晴れているのはラッキーだ。雨だったら最悪。
今回は、ボーイスカウトのS隊長と二人でのアベック縦走なのだ。(アベックという言葉は死語に近いな。今は、カップルというらしいが、カップル登山というのもなんだかな)
とか、思いながら、軽く準備体操をする。とくに足の腱を伸ばしておかないとあとでえらい目に会う。十分な準備体操が必要だ。となりでS隊長も軽く体操している。
0650 出発
今回は、令和を記念しての縦走なので1泊2日だ。←どういう理由やねん
4ヶ月前に、高校生たちとこのコースを1日で歩いたばかりだ。その時は、走るように歩いたので後半になって太ももの筋肉を痛めてしまっただ。なので、慎重に歩くことにした。
私が先導して、S隊長が後に続く。
0710 展望所
出だしの20分間は、平べったい階段が続く。ここを調子に乗って駆け上がると、えらい目に会うのだ。今回は、1秒1歩のペースで歩くことにした。これだと、私の歩幅からすると時速3km位になる。今日の予定は26km歩くので、ゆっくり歩いても8時間も歩けば目的地につくだろう。
目的地は市ヶ原の河川敷だ。そこにテント泊する。

0726 旗振山
ふぅ~。まあまあのペースやな。いつでもこれくらいのタイムになるなあ。
遠くに明石海峡大橋が見える。ちょっと、体が温まった感じがする。
ちょっと、立ち止まっただけで先に進む。休憩は短くして、ゆっくり歩く作戦だ。
木々に囲まれた尾根道をゆっくり歩く。気持ちがいい。この際、あと50km近く歩かねばならないなどとは思ってはいけない。とにかく1歩進めば、それだけ進む。

0742 鉄拐山
なだらかな山道をルンルン歩いていると鉄拐山に到着した。ここで東をみると大阪湾が一望できる。そんなに高くない山やけど、それなりに眺望がよい。この眺望を見たら、もう十分。帰りたくなった。しかし、そんなことではいけない。とにかく、令和なのだ。突き進まねばならない。

0757 高倉山
これが山なのか?といつも思うが、標高212メートルと低いのでしかたがない。ここから先は、急な階段を下っていくのだ。ザックが重いので下りはバランスが取りにくい。

急な階段を何段も降りて、高倉団地に到着する。住民の迷惑にならないように、ベルなどは鳴らないようにしなくてはいけない。おしゃべりもヒソヒソ声で。早朝なので、歩いているだけで足音が響く。やがて、スーパーを通り過ぎる。ふと見ると、8時から営業しているとのこと。
へー、だったら、ここで買ってもいいな。と、前回も思ったことを思い出した。
結局、何も買わないで先を進むことにした。
0816 400階段
県道65号線をまたぐ橋を通って、対岸を歩く。やがて、第1の難関といわれている400階段だ。
この階段は別に難関でもなんでもないと思う。ただ、階段がやたらと続くというだけ。手すりもあるし、ゆっくり登るといつのまにか山頂に到着する。しかし、急いではいけない。足を痛めてしまうのでゆっくり登るのがコツだ。宝塚まで歩こうというからには前半はセーブしないと足が言うことを聞いてくれない。

0830 横尾山手前の展望所
15分ほど階段を頑張ったら、横尾山の展望所に到着する。案内板が新しくなっていた。
遠くに出発した旗振山が見える。近いけど遠くに見えるな。
ここで、ちょっと休憩。S隊長に聞くと、このペースなので全然大丈夫ですとのこと。
まあまあ、いいペースってことか。最初の出だしで、全体のペース配分が決まるな。
今回の縦走は、歩くことを楽しめそうだ。なにせ、令和やからな。
5分ほど休憩して出発。

0855 横尾山
すぐに横尾山に到着。といっても感慨にふけることもなく、先に進む。
次は須磨アルプスだ。

0912 馬の背
須磨アルプスとはよく言ったものだ。砂地なので、普通の靴では滑るだろう。トレッキングシューズを履いていても、時折、ズルっていきそうなる。重いザックを背負っているので、急な坂はバランスが取りづらいのであるきにくい。このあたりは、風化が激しいな。大丈夫かいな。
このまま言ったら、馬の背どころか、ジャンダルムになってしまうかもな。
しかし、景色は見ごたえがある。雨が降ったら、低学年のこどもには厳しいかもしれない。

滑りそうになりながら、途中で砂岩を這い上がる。
やがて、馬の背に到着した。

ここから先は山を下りて町中を歩くのだ。あまり、面白くない。
ただただ降りるだけなのだ。 降りたら住宅街を抜けて、 神戸電鉄の下をくぐる。
いたるところに「六甲全山縦走」の矢印があるから、地図がなくても道に迷うことはない。
コンクリートの道は膝にくる。でも足の筋肉は疲れていない。全然大丈夫だ。
やがて、妙法寺の交差点に差し掛かる。
1000 妙法寺交差点
縦走の行程で唯一にして最後のコンビニがある。ここで、食材などを買うなら調達すべし。
トイレもここで借りるとよい。次は荒熊山までトイレはない。
私はトイレを借りたので、栄養ドリンクを買って飲む。ビタミンCは効くような気がする。
よく考えると、あんまり水分を補給していないな。最近、喉乾きを感じるのが遅い。老化しているのだろうな。喉が乾いてから水分を補給しているようではバテてしまう。先に、水分を補給しないと。ついでにゼリーのカロリー補給をしておこう。水分も取れる。
S隊長は、私よりも2,3kgは重いザックを背負っているのでちょっとつらそうだ。しかし、ゆっくりペースなので足は大丈夫だとのこと。私とは違って体格がいいので心配はいらないようだ。
さあ、そろそろ行こう。今回は調子がよい。

1057 荒熊神社
町中のゆるやかな坂を上っていく。このあたりの道路は一つとして平坦な道はない。
みんな坂道だ。ヒタヒタと歩くのだが、けっこうじんわりしんどい。地面がアスファルトだからかもしれんな。道案内の通りに進んでいくと、やがて山道に入っていく。次の目的地は高取山だ。
この高取山って、ステルスにしんどいと思う。400階段より精神的にくるわ。はっきり言って。
なんでやろ。年やからかな。腹が減ってきてるからかもしれん。いつも、そんな事考えてるな。成長しとらんな、俺は。などとぶつぶつ思いながら、はあはあ、言いながら上っていく。
後ろから、S隊長は黙々と上ってくる。
一日縦走コースのときより1時間遅いが、こんなもん。いいペースだ。
このペースなら女性でも十分いけると思う。

1115 出発
小休止は終わり。先へ進もう。この先には、アノ菊水山があるのだ。
尾根沿いの道をゆっくり下っていく。
1130 安井茶屋
15分ほどで安井茶屋に到着。ここにはトイレがあるし、なによりも飲料水を補充することができる。ただし、この水は下から上と向けて飛び出るが。だが、飲料水はありがたい。
いつもの野猫たちが私を見ている。


さあ、出発しよう。とはいうものの、ここから菊水山までの道のりが暗くなる。
住宅地のアスファルトの急坂を歩かなければならない。第二の難関と言われている菊水山を思うとよけいに気が重くなるのだ。しかし、そんな事は言っていられない。なにせ、令和だ。
1214 鵯越駅
相変わらず、1時間遅れのペースである。(一日コースに比べて)
無味乾燥な舗装道路は山道と違って、変化がないのでしんどい気がする。
ここは、エスケープポイントである。もう、やめっていうときには、ここから電車で帰る。
まあ、そんなことはないな。ここまでで、16kmくらい歩いたことになる。

駅を左に見て、側道を歩く。ここから菊水山までは4kmくらいは歩かないといけない。
これが長く感じる。途中の標識には「菊水山まで○km」と表示されている。
しかしだ。間違ってるのだ。標識は。あと、2.3kmとあるので、へーと思っていたら、次の標識ではあと3kmと増えてるし。精神的にこたえるわあ。
1214 高架下で休憩
ということで構想道路の下の休憩所で休憩することにした。いつも、ここで休憩する。
この先には浄水設備があるが、けっこうやらしい坂が続く。体力をためておくのにこのあたりで休憩するのが良いのだ。経験で知った。この先はまだまだ距離がある。

1306 菊水山の登山口
やっぱり、休憩は正解だった。あれから40分は歩いただろう。ようやく菊水山の登山口についた。
アジアの方とお見受けする方が、すごいですね。キャンプですか。と話しかけてきた。
話を聞くと、彼は、今日のゴールは神戸駅らしい。すなわち、布引の滝から下へ降りるのだそうだ。ニコニコしながら、別れを告げると、彼は菊水山に登っていった。
さあ、われわれも登りましょか。

この全山縦走コースで、ここが一番イヤ。しんどい。
だいたい、なんでこんなに階段が急なんやろ。しかも、私は足が短いので、こんなに段差のある階段は普通の人より、ももを高くあげないといけない。これが辛い。
この世のすべてに文句をいいながら、一歩一歩上っていく。
なんで、俺、こんなとこ上ってるんやろ。なぞということも考えている暇はない。

1338 菊水山の山頂
階段をうらめしく見上げながら一歩ずつ上っていくと、やがて山頂に到着する。
そうなんや、どんなにしんどくても、前へ進んでいる限りはいつかゴールに着くんや。
などと、ええ話にでそうなことを頭の片隅に浮かべて、次は絶対来ないぞと誓うのであった。
たくさんの人がいるやないか。みんな、弁当を食べてるし。
私達もすこしだけお腹に入れて、下山することにした。
景色はいい。瀬戸内海が一望できる。いい景色だなあ。しんどい目をしたから、神様がご褒美をくれたんやな。

さあ、ゆっくりでもいいから下ろう。足の筋肉が固まってしまう。
1350 出発
菊水山は第二の難関と言われてるけど、私はベスト1に推薦したい。そして、第二の難関は、次の鍋蓋山やと思う。この菊水山が終わってからの鍋蓋山のゆるやかでひつこい上りのある山は、心が折れそうになる。
1430 天王吊橋
ようやく、ここまで下りてきたか。次は、いよいよ鍋蓋山だ。

1512 鍋蓋山の山頂
ま。ええかげん、しんどいわな。この山。これ単独やったら、なんにも言わん。
しかし、アノ菊水山の次にあるのがアカン。じわじわ上りが続くのもアカン。
せやけど、山頂まで来たら、今日のピークは終了だ。だいぶん、気が楽になる。

あとは下るだけ。

1606 大龍寺山門
舗装道路を淡々と下りていく。足が勝手に前へ進んでいく。
このペースは少し早い。目的地には1時間ほど早くついてしまうだろう。
このあたりで、出発して23.5kmの地点だ。

1645 市ヶ原
今日の目的地についた。26km歩いたことになる。
河川敷ではバーベQをしている集団が3組ほどいた。
私達は早めについたので、河川敷でも平べったいところを選んでテントを貼った。
大きな石が多いのでペグは不要だ。ふたりともキャンプは手慣れている。
ささっと設営したあとに、さくら茶屋にいってみることにした。
ふだんなら閉店しているところだが、この時間なら開店しているのだ。
おお~、缶ビールがあるではないか。何?500缶は置いてない。あ、そう。
350缶いくら?380円。あ、そう。では2つください。
などと酒飲みの卑しさで2つも買ってしまった。S隊長は1つ。
キャンプサイトに戻ってから、カンパーイ!
う、うまい!縦走来てよかったという気持ちでいっぱい。神様ありがとう。
ひごろより、多い目に感謝しておいた。
バーナーを取り出して、持ってきた「うるめ」を焼く。4匹持ってきたので、S隊長にも2匹あげて二人で仲良くビールを飲む。こういうのがいい。
S隊長は、「うるめ」ですかと驚いていたようだが、ちょと炙ってむしゃむしゃと食べていた。
このような環境では、魚の丸焼きはうまいのである。
で、のんびり夕食の支度に取り掛かった。といっても、私はカップ型のハヤシめしと豚汁。
ウン、なかなか美味である。などとインスタント食品を褒めておく。

やがて、突然の睡魔に襲われた。まだ、午後7時半である。
生理的な欲求には抵抗できない。
ここは谷あい。スマホの電波も届かない。
そうか、寝るしかないね。
では、おやすみなさい。
明日は、5時起きで6時出発としますか。はい。そうですね。
明日に続く